最終更新日2024年11月23日
チタンとは、原子番号22番の元素であり、「Ti」と表記されます。素材自体の色は銀灰色ですが、加工次第で美しい色を出すことができます。また、その他に多くのメリットを持つため、航空機やロケットからアクセサリーと幅広い分野で使用されています。ちなみにチタンという名称は、ギリシャ神話に登場する巨人の「タイタン」が由来と言われています。
身近な金属として銅や鉄がありますが、銅は6000年前、鉄は4000年前から使用されています。それらに対し、チタンは新しく、発見されてからまだ200年ほどしか経っていません。
最初にチタンが発見されたのは1790年です。イギリスのアマチュア鉱物学者「ウィリアム・グレゴール」によって採掘されました。当時はまだチタンと名付けられておらず、約4年後に広く知られるようになりました。その際に、ドイツの科学者「マルティン・ハインリヒ・クラプロート」によってチタンと名付けられました。
発見から約100年、チタンに混ざっている不純物を取り除く画期的な方法が見つからず、チタンを活用するまでに至らなかったが、1910年に純度99.9%のチタンの抽出に成功、1946年にルクセンブルクの工学者によってチタンの大量生産が可能になり、様々な分野での活用が始まりました。
チタンには多くのメリットがあり、他の金属に比べ、多方面に優れた金属です。ここでは具体的な特徴とメリットを紹介していきます。
純チタンの比重は4.51(チタン合金は4.8)です。この数値を他の金属と比較すると、鉄の約60%、銅の約50%という軽さです。
チタンはとても強度のある金属です。重さあたり鉄の約2倍、ステンレスの3倍とも言われています。また、アルミと比較しても3倍ほどあり、軽さはアルミに劣ってしまうものの、強度を求め、多くの分野で活躍しています。
チタンは空気中で素材の表面を錆から保護する物質に覆われるため、錆に強いというメリットがあります。特に海水への耐食性は白金(プラチナ)に次ぐ強さであり、
鉄や銅などの主要な金属より優れています。
チタンは他の主要な金属に比べ、熱に強いというメリットもあります。
具体的には、鉄が溶ける温度が約1530度、銅が約1080度、アルミが約660度に対し、チタンは約1660度まで耐えることができます。また、500度までは高い強度を維持することができるため、原子力や火力発電所などの高温な環境で使用される部品にも活用されています。
チタンは人体に安全な金属という特徴があります。金属アレルギーを持つ人に対しても、アレルギーが起こりにくく、毒性もないので、ペースメーカーや人工関節など体内に埋め込むものにも使用されています。
金属アレルギーは、金属と汗などの水分が結合することでイオンが発生し、このイオンが原因となり起こります。チタンは、イオンがほとんど発生しないため、金属アレルギーを引き起こしにくいといわれています。
とても優れた金属であるチタンですが、デメリットもあります。
チタンのデメリットとしてまず挙げられるのが、価格が高いという点です。強度が高いと言われているステンレスと比べると、約10倍ほどの価格差があります。
理由としては、チタン鉱石からチタンを取り出すのに多くの作業工程と電気量が必要となってしまい、他の鉄鋼金属に比べると大幅にコストがかかってしまうからです。
メリットにも挙げたようにチタンはとても強度が高い金属ですが、その反面、加工が難しいというデメリットがあります。チタンの加工は、溶接やプレスによる成形、切削も難しく、用途に合わせた方法と高い技術力が必要といえます。
チタンは加工する上で、以下の特徴があります。そのため、これらの特徴を考慮した加工をすることで、素材自体の価格にプラスして、コストがかかってしまうのです。
チタンは摩擦に対する耐性が低いため、加工の際に出る粉が燃えてしまう可能性に注意する必要があります。万が一チタンの粉が燃え出してしまった場合、金属火災用の消火剤を使って消火をしてください。
チタンの性質として、引っ張り強度が高いという性質があるため、加工の際に使用する工具の欠けや摩擦による消耗が激しくなります。また熱伝導率が低いため、加工時に発生する熱が工具に溜まり、工具の負担が大きくなります。
チタンにはばね特性があり、加工時に変形しやすいという特徴があります。そのため、加工後も寸法通りのクオリティで仕上げるとなると、十分な技術や経験を持った職人や設備に頼る必要性が出てきてしまいます。
金属チタンには「純チタン」と「チタン合金」の二種類があります。一般的に純チタンは耐食材料として、チタン合金は高強度材料として使われています。それぞれの特徴をここではご紹介していきたいと思います。
純チタンは、99%以上の純度のチタンの総称であり、チタン合金に比べると安価であり、加工しやすいのが特徴です。純チタンは、JIS規格で4種類に分けられており、それぞれ鉄と酸素の量が異なります。
1種:高い耐食性を持ち、化学装置や石油精製装置などに使われています。純度が99.5%と高いため、強度は弱くなってしまいます。
2種:純度99.4%のチタンであり、工業用チタンとして汎用性があり、最も使用されている材料といえるでしょう。
3種:4種類の中では強度が高いため、工業用としてはあまり使用がされていません。
4種:純度は低いものの、強度や耐食性は純チタンの中でも高いという特性があります。
チタン合金は、用途に合わせて強度や耐食性を向上させるために、アルミニウムやニッケルなど他の素材を混ぜたチタンです。純チタンに比べると価格が高くなってしまったり、加工や製造が難しかったりという難点があります。
チタン合金は基本、α型合金・β型合金・α+β型合金の3種類に分けられます。
α型:チタンにアルミニウムを添加した合金です。加工性は悪いですが、幅広い温度下で安定した強度を持ちます。
β型:高温に弱いという性質はありますが。加工性に優れ、チタン合金の中でも最高強度といわれているので、様々な用途で使用ができます。
α+β型:α型、β型の特性を持つチタン合金です。強度、耐熱性に優れ、加工性も優れているので、チタン合金の中でも扱いやすい合金です。
種類 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
純チタン - 1種 | 純度99.5%。高い耐食性があり、強度は弱い。 | 化学装置、石油精製装置など |
純チタン - 2種 | 純度99.4%。汎用性が高く、最も一般的な工業用チタン。 | 工業用途全般 |
純チタン - 3種 | 4種類の中で強度が高いが、あまり使用されていない。 | 特殊用途 |
純チタン - 4種 | 純度は低いが、強度と耐食性が高い。 | 強度が求められる用途 |
チタン合金 - α型 | チタンにアルミニウムを添加。加工性は悪いが広い温度範囲で強度を維持。 | 航空機部品、高温環境下の部品など |
チタン合金 - β型 | 高温に弱いが加工性に優れ、最高強度を持つ。 | 医療機器、フレームなど様々な用途 |
チタン合金 - α+β型 | α型とβ型の特性を併せ持ち、強度、耐熱性、加工性に優れる。 | 多用途:航空機、エンジン部品など |
耐熱性や耐食性などに強く、強度もあるチタンは幅広い業界で活躍しています。
くればぁでは丸抜き、寸法切りなどご希望のサイズに合わせてカットすることも可能です。お気軽にご相談ください。
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